兆し
9月より、地元の専門学校の学生たちが、理学療法科に長期実習に来ている。現在2期目。1期目の学生は6週間、今回は5週間である。8名の学生が、月~金曜日の午前中に実習している。日本の実習現場と比べると、学生を指導するバイザーがいない、学生は、実習期間にわたって、ひとりの患者さんを症例として持たない、同僚たちは基本的に放任する傾向、学生たちの興味は細かな治療手技など機能面に偏重、基本的な動作介助方法や松葉杖などの歩行補助具の使用方法に対する知識はほとんどない、などの特徴がある。評価に関しては、ほとんどの場合で関節可動域(ROM)や周径、肢長で終始する。そのほかに患者の基本情報は聴取するが、ADLやニードについては確認せず、目標やその到達期間も考えることはない。残念ながら、患者の全体像を把握するまでには至らない。
自分の担当患者さんへの理学療法中、ちらりちらりと学生たちのようすをみる。いてもたってもいられなくなり、ROM訓練や周径などの評価で、学生たちに手とり足とり指導することが、自然と多くなっていた。また、これは同僚の学生への管理や知識として知らない面が大きく影響しているが、たとえば、上腕骨頚部骨折術後(プレート固定)8日目の患者さんに、非愛護的に回旋運動をしたり、自動で屈曲や外転運動を誘導していた(㊟いずれもこの時期は禁忌)。しかも、患者さんは苦痛を伴っている。このときは、すぐに止めに入り、同僚には、このような(急性期のリスクの管理を必要とする)患者は学生へまかせない方がいい、もしまかせるならば、しっかりと、学生に何をどのようにやるか伝えて、そして目を離してはいけないと思いますが、どうでしょうか、と意見した。日々、このような状況で、午前中はどたばたと過ぎていく。
そして、きょう。私のカウンターパート(CP)が若い同僚と学生への指導を自ら始めた。配属して3ヶ月。理学療法中に患者さんの前で実際に指導するCPの姿は、これが初めてである。学生はみんな、CPの職場での立場がわかっているから、ぴりっと緊張して全員が集まっている。メモをとる学生たちもいる。CPの指導後、学生のひとりに「どう?わかった?」lと聞いたら、「はい」とこたえていた。
これは、大きな変化ではないか!CPが実地に患者さんを前にして具体的に指導している。指導後、英語が堪能なCPに「ワンダフル!! これからも若い同僚や学生にどんどん素敵な指導をしていきましょうね」と伝えると、ちょっと恥ずかしそうだったが笑顔で「OK!」と返ってきた。いいぞ、手ごたえ十分だ。と内心とてもうれしく思う。CPは副管理の立場にあり、同僚や私の仕事ぶりをよく見ていることが多い。自分が学生たちにこれでもかー、と指導しているのをみて、何かを感じてくれたのかな、などと思いっきり自分に都合のいいように解釈したりもする。なんにしても、CPに変化の兆しを、私は感じた。うれしい変化の兆し、である。
CP、午後も積極的である。2週間前に新人が入職した。この新人が脳卒中の患者さんを受け持つことになった。発症後1ヶ月を経てリハビリ開始。梗塞部位は当該画像所見がなく不明。右麻痺。軽度の見当識障害はあるが、意思疎通はできる。筋緊張は高いが、痙性は生じていない。下肢の麻痺は12グレードで10、体幹機能は良好で、感覚障害も軽度であり、杖なしの介助歩行が可能である(後ろ型)。新人スタッフに指導しながら、CPは立位でのバランス訓練を患者さんに行っている。個人的には、両側荷重を促しながらの起立訓練、オートマチックな長距離の歩行訓練などを積極的に行っていきたい症例だと思うが、遠目からCPの指導を尊重して見守る。すると、「HIDEもこっちにきて、一緒にみよう」と、CPが声をかけてきた。「患者さんの歩行、どう?いいよね?」とCP。「そうですね、いいと思いますよ。積極的に歩行訓練と筋力訓練をすれば、もっとよい歩行ができると思います」と伝える。来週も、必要な時はCPが新人に指導することを期待する。そのとき、意見を求められたら、訓練内容について、もう少し具体的に踏み込んで伝えてみよう。
もう一点ある。CPの役割について。初診や定期評価を患者さんにする。定期評価の際は処方の変更をしたり、理学療法の継続や終了の判断もする。が、このとき、CPはほとんど担当スタッフから現状を確認して、それらを考慮したうえでの判断をすることはなく、独断である。だから、え、あの患者さんいつ理学療法が終了になったの?というときもある。
日々、担当である患者さんの訴えを聞いて、信頼関係づくりに腐心していくなかで、細かな患者さんの変化や体調の好不調もわかるようになる。つまり、患者さんを最もよく知っているのは各担当スタッフであると思う。自分なりに評価をして問題点をあげ、それに対するアプローチを考え、設定した期間まで目標を達成できるか。緊張感と責任をもって取り組んでいる。
定期評価をする前に、各スタッフが状況を申し送りして、それらをしっかりくみとる。より患者さんの現状に即した判断ができるのではないか。常々配属後感じていた。
きょうは自分の担当患者さんが定期評価だった。頚部痛と肩、胸背部のこりやだるさを訴えていた患者さん。CPは運動療法は必要ないと判断して物理療法のみへ処方を変更した。しかし、わたしはまだ胸背部へのアプローチはもう1週間ほど必要と考えていた。すぐその場でCPに相談を持ちかけてみた。すると、快諾してくれた。しかも、「HIDEはいつも患者さんによくやっている。HIDEがそういうなら、OK!」とまで言ってくれた。よし、話し合いできる余地は十分にあるぞ。これは今後につながる1件になるのではないかと感じた。
きょうは、今後につながるよい兆しがたくさんみられた1日であった。来週もCPの指導や考えは肯定し、尊重しよう。でも、意見が必要な時は、お互いに話し合える時間も作っていこう。
自分の担当患者さんへの理学療法中、ちらりちらりと学生たちのようすをみる。いてもたってもいられなくなり、ROM訓練や周径などの評価で、学生たちに手とり足とり指導することが、自然と多くなっていた。また、これは同僚の学生への管理や知識として知らない面が大きく影響しているが、たとえば、上腕骨頚部骨折術後(プレート固定)8日目の患者さんに、非愛護的に回旋運動をしたり、自動で屈曲や外転運動を誘導していた(㊟いずれもこの時期は禁忌)。しかも、患者さんは苦痛を伴っている。このときは、すぐに止めに入り、同僚には、このような(急性期のリスクの管理を必要とする)患者は学生へまかせない方がいい、もしまかせるならば、しっかりと、学生に何をどのようにやるか伝えて、そして目を離してはいけないと思いますが、どうでしょうか、と意見した。日々、このような状況で、午前中はどたばたと過ぎていく。
そして、きょう。私のカウンターパート(CP)が若い同僚と学生への指導を自ら始めた。配属して3ヶ月。理学療法中に患者さんの前で実際に指導するCPの姿は、これが初めてである。学生はみんな、CPの職場での立場がわかっているから、ぴりっと緊張して全員が集まっている。メモをとる学生たちもいる。CPの指導後、学生のひとりに「どう?わかった?」lと聞いたら、「はい」とこたえていた。
これは、大きな変化ではないか!CPが実地に患者さんを前にして具体的に指導している。指導後、英語が堪能なCPに「ワンダフル!! これからも若い同僚や学生にどんどん素敵な指導をしていきましょうね」と伝えると、ちょっと恥ずかしそうだったが笑顔で「OK!」と返ってきた。いいぞ、手ごたえ十分だ。と内心とてもうれしく思う。CPは副管理の立場にあり、同僚や私の仕事ぶりをよく見ていることが多い。自分が学生たちにこれでもかー、と指導しているのをみて、何かを感じてくれたのかな、などと思いっきり自分に都合のいいように解釈したりもする。なんにしても、CPに変化の兆しを、私は感じた。うれしい変化の兆し、である。
CP、午後も積極的である。2週間前に新人が入職した。この新人が脳卒中の患者さんを受け持つことになった。発症後1ヶ月を経てリハビリ開始。梗塞部位は当該画像所見がなく不明。右麻痺。軽度の見当識障害はあるが、意思疎通はできる。筋緊張は高いが、痙性は生じていない。下肢の麻痺は12グレードで10、体幹機能は良好で、感覚障害も軽度であり、杖なしの介助歩行が可能である(後ろ型)。新人スタッフに指導しながら、CPは立位でのバランス訓練を患者さんに行っている。個人的には、両側荷重を促しながらの起立訓練、オートマチックな長距離の歩行訓練などを積極的に行っていきたい症例だと思うが、遠目からCPの指導を尊重して見守る。すると、「HIDEもこっちにきて、一緒にみよう」と、CPが声をかけてきた。「患者さんの歩行、どう?いいよね?」とCP。「そうですね、いいと思いますよ。積極的に歩行訓練と筋力訓練をすれば、もっとよい歩行ができると思います」と伝える。来週も、必要な時はCPが新人に指導することを期待する。そのとき、意見を求められたら、訓練内容について、もう少し具体的に踏み込んで伝えてみよう。
もう一点ある。CPの役割について。初診や定期評価を患者さんにする。定期評価の際は処方の変更をしたり、理学療法の継続や終了の判断もする。が、このとき、CPはほとんど担当スタッフから現状を確認して、それらを考慮したうえでの判断をすることはなく、独断である。だから、え、あの患者さんいつ理学療法が終了になったの?というときもある。
日々、担当である患者さんの訴えを聞いて、信頼関係づくりに腐心していくなかで、細かな患者さんの変化や体調の好不調もわかるようになる。つまり、患者さんを最もよく知っているのは各担当スタッフであると思う。自分なりに評価をして問題点をあげ、それに対するアプローチを考え、設定した期間まで目標を達成できるか。緊張感と責任をもって取り組んでいる。
定期評価をする前に、各スタッフが状況を申し送りして、それらをしっかりくみとる。より患者さんの現状に即した判断ができるのではないか。常々配属後感じていた。
きょうは自分の担当患者さんが定期評価だった。頚部痛と肩、胸背部のこりやだるさを訴えていた患者さん。CPは運動療法は必要ないと判断して物理療法のみへ処方を変更した。しかし、わたしはまだ胸背部へのアプローチはもう1週間ほど必要と考えていた。すぐその場でCPに相談を持ちかけてみた。すると、快諾してくれた。しかも、「HIDEはいつも患者さんによくやっている。HIDEがそういうなら、OK!」とまで言ってくれた。よし、話し合いできる余地は十分にあるぞ。これは今後につながる1件になるのではないかと感じた。
きょうは、今後につながるよい兆しがたくさんみられた1日であった。来週もCPの指導や考えは肯定し、尊重しよう。でも、意見が必要な時は、お互いに話し合える時間も作っていこう。
"兆し" へのコメントを書く